佳代さん

俺が大学4年の時の話です。一浪しているのでその時の年齢は23歳、そして恥ずかしい事にその年齢でまだ童貞でした。高校時代に2度ほど女の子と付き合った事があるけど、キスどまりで、最後まではいけなかった。大学に入ってからは全くそういう事なし。大学4年の夏前に新しいバイトを始めた。男臭い工場だった。職場の雰囲気はよく、比較的早い段階でバイト仲間とは馴染めた。いろいろな話をしたが、その中でもエロ話は特に盛り上がる。皆、そうとうなエッチ体験を積んでいるようだ。正直そういう話題になると、童貞の俺は気が引けてしまう。最初は極力この手の話題に参加しないようにしていたのだが、そのうち誰ともなく俺にもエロ話を振ってくる。いい歳して童貞だって知られるのは恥ずかしく、嫌だった。しかも年下もいるし、ナメられてはいかんと思い、俺は法螺を吹いた。大学の友人から聞いた話を、さも自分が経験した事のように話した。一度嘘をついてしまうと、バレないように嘘を重ねてしまう。しかも何故かそれが妙に受けて、俺も段々と調子に乗ってしまった。そのうち俺は皆の中にエロい人として刷り込まれてしまった。今思えばかなり痛い、我ながら痛すぎる。そんなんだから23歳にして未だ童貞だったんだだろう。職場には一応、女性もいた。パートのおばさん数人と、事務所に二人。そのうちの一人、事務の佳代さんという人が、何となく気になる存在になった。年齢は20代半ばくらいだろうか、俺より少し年上に見えた。佳代さん(実際は苗字で呼んでましたが)は、俺が入ったばっかりの頃いろいろ世話を焼いてくれたし、その後も何かとよく話し掛けてくれた。職場で唯一の若い女性だったのもあり、女慣れしていない俺はそれだけでぽーっときちゃったわけだ。あれは職場でお盆休み前の打ち上げ飲み会をやった帰りの事、車で来ていた佳代さんが、乗れるだけの人を送っていってくれる事になった。俺も乗せてもらった。狭い車内に5人がぎゅうぎゅう詰め。一人ずつ家の前で落としていき、最終的には車の中は俺と佳代さんだけになった。他愛もない話で盛り上がった。佳代さんとは何となく気が合う。そして俺のアパートの前に到着。お礼を言って車を降りようとすると、佳代さんがふいに、「ねえ、ちょっと上がっていってもいい?」と聞いてきた。車の中で妙に話が弾み、俺ももうちょっと話したかったので、「あ、いいですよ。お茶くらい出しますよ。」と佳代さんを部屋に入れた。女性を部屋に入れる事でドキドキはしたが、この時は正直下心なんてなかった。部屋で佳代さんは周りを見渡しながら、「ふ〜ん、大学生の男の子の部屋ってこんな感じなんだ〜。」と散らかった我が部屋に感心していた。で、部屋で麦茶をすすりながら、雑談。佳代さんは女性にしては背も高い方で、一見スラっとしているのだが、胸やお尻や二の腕なんかはムチっとしている。目鼻立ちが整っているせいか、キツそうに見えるが、性格はさっぱりあっさり気さくで、バイトの男連中からも普通に慕われていて、感覚的には友達とかお姉さんのようだ。大人の女の人。そんな憧れの人と部屋で二人きりで話すのは、何か自分だけ特別になった気がして嬉しかった。部屋で30分くらい話しただろうか、会話の流れで、「圭クン(←俺)、ここにけっこう女の人連れ込んでいるんでしょ? 他のバイトの子からいろいろ悪い噂聞いてるよ〜。」と佳代さんに意地悪っぽく聞かれた。あ痛たたたた。正直、女性を部屋に上げたのは母親除いて佳代さんが初めて。しかし今更そうとは言えず、お茶を濁す俺。「いや、まあ、それほどでもないですけど・・・。」佳代さんはそんな俺をからかうような疑いの眼差しを向け、「ね、今、付き合っている子とかいないの?」「あ、今はいないっす。」今はって、ずっといないんだが・・・。深く突っ込まれるとボロが出る。この話題は早く切り上げたい。しかし佳代さんの質問は矢継ぎ早に続く。「どのくらいいないの?」「う〜ん、ちょっと前から。」「ちょっと前ってどのくらい?」答えに窮した。が、適当に「3ヶ月くらいかな。」と答える。そう言うやいなや佳代さんがいきなり俺の太ももに手をあててきた。俺は一瞬ビクっとして、驚いて佳代さんの顔を見た。佳代さんの雰囲気が明らかに今までとは違う。いつものフレンドリーな感じではなく、得体の知れない女オーラを放っている。無言で俺の太もも辺りを擦る佳代さん。どう対応すればいいか分からず硬直する俺。しばらくそうした後、佳代さんはとろんとした視線で、「圭クンってさぁ、上手そうだよね。」!上手・・・上手って何がですか?エッチがですか?その話題の意図は何ですか?確かに法螺話の中の俺はセックスマシーンかもしれない。見た目だって鼻が大きい。が、その実、単なる短小の童貞だ。正直、興奮はしている。ジーンズの中のチンチンもむにょむにょと半勃ち状態。佳代さんの事、嫌いじゃない。むしろ好き。たまにオナニーのネタにしている。そんな人からいきなりの誘惑。心臓がバクバクだ。誘いに乗るべきか。だが、佳代さんの中の俺は、法螺を真に受けて、多分それなりの経験を積んだセックス巧者って事になっているだろう。どうしよう・・・下手したら笑われるかも。童貞ってバレたら嫌われるかも。「あ・・・佳代さんは彼氏とか、いないんですか??」とにかくこの場をやり過ごす為に誤魔化しの質問返し。すると、「私、圭クンのこと好きよ。」質問に対する答えにはなっていないが、これって・・・告白?きたー。どうしようどうしようどうしよう。何も答えられない俺、しばらく間を空けて佳代さんは、「ねえ・・・しよっか?」そう言うやいなやいきなり唇を重ねてきた。俺の答えを待たず。ディープなキスだった。高校時代のキスの経験なんて、唇と唇をちょっと合わせる程度のもの。舌を絡ませたのは初めて。そしてここから先はまさに未知のゾーン。彼女が積極的だったのはここまでで、後は俺に委ねるような感じになった。「女慣れ」している俺のお手並み拝見ってとこか。困った。かなり不器用な感じで彼女の乳揉んだり、キスしたりしながら、服を脱がした。下手な事しないように、なるだけ手馴れたふりをして、見栄坊な俺はそんな痛いこと考えながら、正直いっぱいいっぱいで、興奮する余裕すらなかった。しかし何とか佳代さんをブラとショーツだけにする。自分もトランクスだけになった。しかしこの後がまずかった。格好つけて片手で彼女のブラを外そうとし苦戦。かなり時間がかかり、しかも焦ってうろたえてしまう。額から汗だらだら。「痛っ!」彼女の声で俺は我に返り手を離した。「あ・・・今日、調子悪いなあ・・・。」俺は意味の分からない痛い言い訳をしたもんだ。佳代さんもちょっと興醒めって感じで俺を見る。たぶん服脱がしている時点から、俺に何か違和感を感じていたんだろう。気まずい空気が流れる。所詮は小心者の俺、ここでついに緊張が限界に達し、「・・・すいません、実は俺、初めてで・・・。」佳代さんはは「えっ!?」って顔で俺を見る。しかし彼女は何も言わない。緊迫感に耐え兼ね、つい俺は多弁になってしまう。しかしいったん吐いちゃうと案外楽になり、正直にすべて告白した。童貞が恥ずかしく法螺を吹いていた事、でも佳代さんの事は好きだという事。ああ、もうこれで終わりだ。嫌われた。しかし佳代さんは言い訳がましい俺の言葉を遮るかのように、顔を思いっきり近づけてきて、妙に好色な笑みを浮かべながら、「で、どうする?続ける?やめる?」と言った。許してもらえたようでホッとした。「出来れば・・・続けたいです。」俺も情けない声で答えたもんだ。佳代さんは俺に抱きついてきてキスをしてきた。「誰でも初めてはあるんだし、いいんじゃない? ま、君の法螺はちょっと痛いけどね。」そう言ってクスクス笑う。俺は恥ずかしくて俯いた。「布団敷こっか。」佳代さんが俺に促した。布団の上で俺は佳代さんに押し倒された。さっきまでは俺に委ねる感じだったのが、今は完全に攻めの表情になっている。仰向けに寝転がる俺の上に乗った佳代さんは、容赦なく俺の体にキスしてくる。顔、首筋、乳首、腹、と。俺はされるがままだった。「何で嘘ついてたの〜?」「童貞ってそんなに恥ずかしいものなの〜?」キスの合間に何だか嬉しそうに問い詰めてくる。俺は口篭もった。そして上から俺をニヤニヤと見下ろしながら、自分でブラジャーを外した。こぼれ落ちそうなオッパイ、と言うかこぼれ落ちてる。少々たれ気味だが結構デカイ。ちょっと大きめの乳輪と茶色の乳首がまたいやらしい。続いて佳代さんは俺を跨いだまま膝立ちになり、ショーツを脱ぎ始めた。俺の反応を楽しむかのように、ゆっくりと。ストリップを見ている気分だ。佳代さんは俺の上で腰をくねらせながら、器用にショーツを脱ぎ捨てた。逆三角形の陰毛。ちょっと濃い目。俺の上で全裸の佳代さん、細身なのだが妙にムッチリしていて、いやらしい。これからこの体で俺は初体験するんだ。そう考えるとゾクゾクした。佳代さんはそのままマンコを俺の顔に近づけてくる。本やビデオでは見た事あるが、生のマンコは本当にエグイ。俺はたじろいでしまったが、佳代さんはお構いなしに俺の顔にマンコを押し付けてきた。ちょっと苦しい。そして思っていた以上に臭いがキツイ。童貞なのにこれはちょっとハードだろと思った。しかし我慢をして、俺は知識を総動員し、佳代さんのマンコを舐めた。佳代さんはちょっと腰を浮かせたり、微妙に動かしたり。俺はこれが膣か、これがクリトリスか、と確認するように舌を這わせた。変な液体が溢れてきて、俺の顔をべとべとにした。佳代さんはハァハァと息を荒げて、たまに、「・・・んんっ・・・」とか「・・・くぅ・・・」とか声をあげる。特にクリトリスをチロチロとやっている時の声が激しかった。感じているのかな。しばらくすると佳代さんは俺の顔からマンコを離す。俺はやっと解放されたって気分。佳代さんは、「じゃあ、次は私が口でしてあげよっか。」そう言って俺の下半身の方へ体をもっていった。トランクスの上から俺のチンチンをさする佳代さん。そしてトランクスに手をかけゆっくりとおろす。ぴょこんと俺のチンチンが顔を出した。すでに完勃起状態だ。しかしさほどの大きさではない。そのチンチンをニヤニヤと見つめる佳代さん。恥ずかしかった。佳代さんは俺の小さいチンチンをシュッシュッとしごき始めた。それだけで俺は気持ちよくなってしまった。しごきながらチンチンを見つめ佳代さんが一言、「何か・・・かわいいね。」俺はもう恥ずかしくて顔から火が出そうになり、「すいません。」何故かと謝ってしまった。佳代さんはクスリと笑う。そして俺のチンチンを咥えた。「ああ・・・。」その瞬間、不覚にも俺は情けない声をあげてしまった。佳代さんはちょっとビックリして顔を離し、「あ、痛かった?」と聞いてきた。俺は思いっきりかぶりを振った。佳代さんはまた咥える。佳代さんの口に含まれたチンチンに舌が絡みついてくる感じ。そして顔を上下させる。俺が初めてなの気遣ってか、優しい感じのフェラだった。事務の佳代さんが、いつも一緒に働いているあの佳代さんが、今その口で俺のチンチンを咥えている。そう考えると、もうたまらなかった。そして時折、顔をチンチンから離し、手でしごきながら、「このチンチンで何人くらいの女の人いかせたんだっけ?」と意地の悪い質問をしてくる。ニヤニヤと俺の顔を見ながら。「一人も・・・いないです。」俺は情けなく返答する。すると佳代さんは、「私も初めてよ・・・」と意外な事を言った。俺が「え?」と驚くと、「・・・童貞クンとするのは。」そう言って佳代さんは妙に満足げに微笑み、またチンチンを口に含む。もしかしてさっきから童貞の俺をもてあそぶのを楽しんでいるんだろうか。佳代さんは俺の足を股で挟み、腰を動かし、俺の脛の辺りでマンコを擦りながら咥えていた。「そろそろ挿れたくなった?」佳代さんが聞いてくる。俺も思わず、「はい。」と答える。しかしここである事に気付いた。「あ・・・ゴム持ってないです。」しかし佳代さんは、それがどうしたのって顔で、「外に出せばいいわ。テクニシャンな圭クンだったら出来るでしょ?」とまたまた意地の悪い事を言ってきた。俺、完全に遊ばれているな。考えてみるとさっきからずっと俺は仰向けで、佳代さんのしたいようにされている。ここらで上下逆になるのかなと思いきや、佳代さんは、そのまま仰向けの俺を跨ぎ、チンチンに手をやり、自分の膣口にあてがった。俺は見下ろされている。そして佳代さんはチンチンをしばらく膣にこすりつけ、そして腰を落とした。俺は佳代さんの膣にずぶずぶと吸い込まれていく自分のチンチンを呆然と眺めていた。俺の初挿入は騎乗位だった。俺は自分のチンチンがマンコに入っているのを見て妙に感動した。「入っちゃった。」そう言うと佳代さんは腰を動かし始める。互いの陰毛が擦り合わさる。「ぅん、ぁああ・・・んんんっ・・・・ぁああ・・・」佳代さんの声のトーンが徐々に上がってきた。当然ながら俺はこんな佳代さんを見るのは初めてなわけで、普段はサバサバとした男友達のような佳代さん、でも今、俺の上で激しく艶めかしく腰を振る佳代さんは、女そのものだ。そのギャップに俺は興奮した。ハァハァと俺の息も荒くなる。佳代さんの表情は切なそうな、放心したような、ああ、これがセックスする時の女の人の顔なんだ。佳代さんの動きは緩急ついていてすごく気持ちが良かった。そして動くたびにたぷんたぷんと揺れるおっぱい。俺はそれを下から見上げたまらなくなり、手で揉みしごいた。しっとりとして柔らかく、吸い付くような肌だった。情けない事に俺はここで絶頂を迎えそうになってしまう。フェラの時点でかなりテンパっていた俺は、佳代さんの騎乗位に耐えらず、「・・・い、いきそう。」と情けない声で訴えた。佳代さんは、一瞬、「え。もう?」って顔をしたが、すぐフッと微笑み、「いいよ、きて。」色っぽい声で答えてくれた。我慢は限界だ。が、どこへ出せばいいのか。中はマズイのでは・・・。「外に出さなきゃ・・・。」俺はそう言ったのだが、佳代さんは何も答えず、それどころか腰の動きを速める。もう、ダメだ・・・。「うぅっ。」俺はそのまま佳代さんの中で放出してしまった。どくどくと自分でもかなりの量が出ているのが分かった。チンチンが脈打つ度に全身の力は抜けていったが、すごい快感だ。やっと童貞を捨てれた。何とも言えない満足感と、こんなもんかという脱力感があった。俺の上に乗っている佳代さんはチンチンを入れたまま、ハァハァと肩で息をしながら、「圭クンの・・・奪っちゃった。」と満足げに言った。確かに「奪われた」と言った感じだ。終始、女性にリードされて情けない初体験かもしれないが、それでも俺はやっと童貞でなくなった事が嬉しかった。俺の上の佳代さんの体中に汗が光っている。そして事後処理を済ませ、しばらく裸で抱き合う。「あの・・・気持ちよかったです。佳代さんが初めてでよかったです。」俺は馬鹿みたいに言わんでもいい感想を述べた。すると佳代さん、俺の胸の辺りを手で擦りながら、「さっきまで女を知らなかったこの体も、今は私しか女を知らない体ね。」と悪戯っぽい表情で笑う。嫌なこと言うなあと思ったけど、俺はMっけがあるのか、佳代さんにこういうふうにからかわれるのが嫌ではなかった。彼女にしても初めての童貞食いで、それはそれで楽しんでいるのだろう。その後は第2R戦突入。1Rはうって変わった佳代さんの激しいフェラの後、今度は俺が上でさせてもらった。当然、上手く挿入できず、佳代さんに手で誘導してもらった。無我夢中で腰を動かし、1Rよりは長持ちした。この夜限りではなく、その後も佳代さんとは続いた。その間、俺が知った事と言えば、佳代さんは28歳だと言う事。そしてバツイチだった事。10年ほど前に離婚したらしい。子供はいない。これにはちょっと驚いたが、だからと言ってどうと言うわけではない。俺は佳代さんの事が好きだったし、彼女の体に溺れた。この先どうなるかは分からないけど、とりあえず今この関係を楽しんだ。お互いの為に二人の関係はバイト先では内緒と言う事にした。同じ職場だと知られるといろいろと面倒な事もあるだろうし、俺にしても法螺の事があるし、隠したかった。俺の変化と言えば職場であまり下ネタを言えなくなった事かな。今までの法螺と違い、自分の体験談を話せる立場になったのだが、その体験の相手が近くにいる。言えるもんじゃない。さて佳代さんと初めてやって2ヶ月くらい経った日曜日の事。部屋でテレビを見ていると、携帯に電話がかかってきた。夜中の10時まわっていたと思う。見ると佳代さんからの着信。俺は喜んで電話に出た。すると電話の向こうから低い男の声で、「あ、田中やけど。」え?田中?何で?心当たりがない。間違い電話かと切ろうと思ったが、確かに佳代さんからの着信だったはず。どういう事だ?わけが分からず、とりあえず聞いてみた。「えっと、どちらの田中さんですか?」「あ?ふざけとんの?」「いや・・・。」何か怒りの篭った声。その声がちょっと怖くて俺は怯んでしまった。状況も掴めないし。「○○運輸の田中や。分かるやろ。話あるで今から君んち行くわ。」こう言われて初めてハッとした。うちのバイト先に出入りしているトラックのドライバーの田中さんだ。年齢は30代半ばくらいだろうか。バイトの皆とも仲がよく、面白い人だ。俺も皆ほどではないが、仕事で絡む時なんかはよく話す。しかしその田中さんが何で?俺は混乱した。「あの・・・どういう事でしょうか?」「あ?ふざけるのもたいがいにしとかんと、どつくよ。ホンマ。 佳代の事って言えば分かるやろ?じゃ、今から行くから。」そう一方的に言って切ってしまった。さすがに鈍い俺でも、これでもう大体の予想はついた。こんな時間に佳代さんの携帯からかけてきたって事は、おそらく田中さんと佳代さんもそういう関係なんだろう。そして佳代さんは、俺と田中さん二股かけている、と言ったとこか。何にせよ気が重くなった。怖いし逃げよう、部屋にいなかったって事にすればいい。いつかは捕まるだろうけど、今日はとりあえず逃げよう。そう思った。しかし電話を切って間髪入れず田中さんはやってきた。どうやらすでにアパートの前まで来ていて、そこから電話したようだ。田中さんは生粋の関東人のくせに、あやしげな関西弁でまくしたてる。俺が考えをまとめる間も与えてくれない。普段は豪快で面白い人だなと思っていたが、こういう時だと暴力的に感じる。ヘタレの俺は気圧されて小さくなってしまった。そして彼の話の内容に俺はショック受けまくった。田中さんによると、彼と佳代さんは1年近く前から付き合っているとの事。結婚も考えているほど田中さんは本気のようだ。佳代さんもそんな彼の意思を尊重してくれているらしい。俺とは違い田中さんは佳代さんとの未来を考えている。正式な恋人と言えるだろう。俺が佳代さんと関係持って約2ヶ月、彼女とは何度か会ったが、考えてみれば土日に会った事ってあまりないし、場所もいつもこの部屋で、二人で外出ってのもない。密会って感じだ。俺は職場の皆に知られないよう人目を避けての事だと思っていたが、どうやら理由のメインは田中さんにバレない為だったようだ。「あんた、女癖悪いらしいな。で、人の女にまで手を出すか。」「いや・・・それは・・・。」ここでも法螺が自分にのしかかってきた。自分で巻いた種なんだが。田中さんは女癖悪い俺が、彼氏いるの承知で彼女を誘惑したと思い込んでいる。スゴイ剣幕だ。いつ殴られるか、いつ殺されるかくらいの勢い。俺は恥じも外聞もなく半べそかきながら釈明した。「俺は佳代さんと田中さんが付き合っているなんて、今の今まで全く知らなかった。 佳代さんから聞いた事もないし、それどころか田中さんだって皆に隠していたわけだし・・・。 知っていれば絶対こんな事にならなかった。」これは本当の事だ。とにかくこれ一本で押した。当然、信じてはもらえず、「んなこと知るか!何にせよ、佳代に手ぇ出したって事実は消えんのじゃ!」しまいに俺は佳代さんが初めてだった事も告白して、そして佳代さんとの馴れ初めも全部暴露して、許しを請う。惨めで情けないが、もう俺は怖くて仕方なかったのだ。田中さんはそれでも最初は、「じゃ何か、あんたはこの事は全部佳代のせいや、と。 純情な僕はフシダラな佳代さんに誘惑されました、そう言いたいんか?」はいそうです、とは言えるはずない。とにかく知らなかったを強調し、謝るしかない。そのうち平謝りの俺に田中さんも少し興奮がにおさまってきて、「ホンマか?ホンマに知らんかったんか?佳代の口から一度も聞いた事ないんか?」「本当に本当です。今日が初耳です。」そう答えると田中さんは考え込んでしまった。そして、携帯で佳代さんを呼び出した。どうやら田中さんは外の車に佳代さんを待機させているようだ。佳代さんはすぐやって来た。「彼、お前から俺らの関係聞いた事ない言うてるけど、ホンマか?」田中さんは佳代さんに問う。佳代さんはおどけた感じで俺に、「あれ?言わなかったっけ?」田中さんはジロリと俺を睨みつける。俺は必死に、「聞いてないですよ!」そしてしばらくは田中さんの尋問に俺と佳代さんが答える形だったのだが、そのうち段々と俺は蚊帳の外になり、田中さんと佳代さんは口論になる。完全にカップルの痴話ゲンカだ。しかし女って怖い。どう考えても非は佳代さんにあるのに、佳代さんに言いくるめられ、田中さんの方が徐々に言葉に詰まってくる。惚れた弱みってやつか。二人の言い合いはかなり長かった。ふと田中さんは俺の存在に気付いたように、「後は俺と佳代の問題や。あんたの事は許せんが、どーしょーもない。 とりあえず俺たちの前から消えてくれ。バイト辞めろ。な。」俺も承諾した。いいバイトだったんだが、仕方ない。が、結局やっぱり気が済まんという事で、一発だけ殴られた。俺はこの程度で済むならとむしろホッとした。俺は翌日、所長にバイトを辞める旨を言った。しかし職場には職場の事情もあるので、しばらくは残る事になった。その間、田中さんと仕事で絡む時は気まずかった。しかし驚いた事に、俺が辞める前に佳代さんの方が先に辞めてしまった。せめて代わりが見つかるまでと所長は止めたらしいのだが、「せっぱつまった事情」とやらで、即日いなくなってしまった。こういうところは女の人は情け容赦ないと言うか何と言うか・・・。あまりの急の事にバイトの皆もポカーンとしていた。冗談でバイトの一人が俺に、「圭さん、佳代さんに何か変な事したんじゃないの?」と言って笑っていた。間が悪い事に近くに田中さんがいて、後で陰で何故か殴られた。佳代さんは職場を去って数日後の夜、突然うちにやって来た。「ゴメンね。こんな事になっちゃって。 もっと早く謝りたかったんだけど、彼の監視が厳しくて・・・。」佳代さんは真顔で謝る。しかし俺は複雑だった。確かに佳代さんの事はまだ忘れられないが、騙されたという気持ちもある。俺が童貞を隠していた以上の事を、佳代さんは隠していたのだ。それにこれ以上、佳代さんと関わると、田中さんに何されるか分からない。結局、今日は田中さんは遠くに行っていて絶対に大丈夫というので部屋に入れた。もちろん、エッチな事するつもりはなかった。最後の話をするだけのつもりだ。「最初、圭クンのこと女遊び激しい子だと思ってたから、 私みたいなのとでも大丈夫かなってつい誘っちゃったのよね。 そしたら初めてだって言うから・・・。悪いなとは思ったんだけど。 だから彼がいるって言い出せなくて。」それが佳代さんの言い分だった。彼がいるのに他の男と寝たくなる、そういう女の心境は当時の俺には理解できなかったが、ただ佳代さんをその気にさせるような法螺を吹いていた自分にも非はある。「でも、圭クンのことホントに好きだったよ。」無言の俺に佳代さんはフォローのつもりかそう言った。最低な事に、結局、我慢できず佳代さんとやってしまった。やっている最中、田中さんの事が頭にちらついたが、それを考えると、今抱いている佳代さんが、不思議と前までの佳代さんと違った感じがして、いつも以上に興奮した。ただ終わった後はすごく後悔の念で苦しくなった。終わった後、そそくさと服を着ていると佳代さんが、「今日は、彼がいるって知っているのに私を抱いたんだからね、 これで圭クンも罪の言い逃れは出来なくなったわよ。」笑いながらそう言ったが、俺は笑えない。本気で気が重くなった。しかし佳代さんは、「ふふ、冗談よ。じゃあね。もう会う事ないと思うけど。」最後にあっさりそう言って去っていった。何だか罠にはめられた気分だ。佳代さんとはそれ以来、会っていない。俺が辞めた後、バイトの皆に送別会を開いてもらった。佳代さんも呼んだらしいのだが来なかった。その帰り道、2つ年下の佐藤君と途中まで一緒に歩いて帰ったのだが、その時、ゴキゲンの彼が酔った勢いでか、「もう最後だし、当人もいないから、言っちゃうけど、 俺、実は佳代さんとやった事あるんすよ。」と自慢気に告白してきた。えっ!聞けば佐藤君、半年ほど前に彼女とケンカしてヤケになっている時、佳代さんと何となくそういう関係になってしまったそうな。軽い口調でそう教えてくれた。・・・そんな簡単なものなのか。俺の場合、向こうに誘われる形でやっと童貞捨てられたと言うのに。佐藤君は彼女と仲直りした後も、佳代さんとはセフレみたいな関係で続いたそうな。最後にやったのが二ヶ月ほど前とか言ってたので、俺ともダブっている・・・。「佳代さん、圭サンの前にいたバイトの人ともやってましたよ。」これにも俺はガツンときてしまった。ここにきて俺はまた佳代さんの隠していた事を知ってしまった。もしかしたら知らないだけで他にももっと・・・。「それにしても、かわいそうなのはドライバーの田中さんだよなあ。 佳代さんと田中さん、付き合っているんですよ。」佐藤君はクククと笑いながら、ひとごとのようにそう言った。自分も関わっているのに、何て軽いんだ。佐藤君は二人の事を知っていたのだ。知っていて佳代さんと関係を持った。俺はショックだった。俺はそういう事に全く疎かったが、実は皆、密かにいろいろやっていたし、いろいろ知っていたんだな。そして皆、俺とは違い上手くやっている。痛い目見たのは未熟な俺だけだ。皆、大人だ。最後に佐藤君はニヤニヤしながら俺に聞いてきた。「ここだけの話、圭さんも佳代さんとやっちゃったんでしょ?」・・・さすが鋭い。「う・・・うん。実は・・・。」「やっぱり!そうじゃないかと思ったんだよな〜。」佐藤君は「兄弟兄弟」と明るく笑い飛ばしていた。そして、「やっぱり田中さん、かわいそうだよなあ。」とまた言っていた。結果的に俺の初体験の相手は、年上でバツイチで彼氏がいるヤリマンの女性だったわけだ。年上ってこと以外は一つ一つ後から知っていった。当時は一つ知る度にショックを受けていましたが、今思えば、そういうのも悪くはなかったなと思います。