RUN WITH YOU

彼女は高校の陸上部の先輩だった一目惚れだったけどプライドが高かった俺はそのことを言えずにいたでも夏の大会の打ち上げで肝試しをすることになった際先輩が「W君恐いの大丈夫かな?よかったら一緒に行ってくれない?」と言ってくれた身長が130cmくらいで子供っぽい先輩だったから本当に恐かったのだろう二つ返事で了解したもちろんチャンスだと思った俺は死ぬ気で告白先輩ははにかみながらOKしてくれたそれから俺達は付き合い始めた 長いようで短かった1年デートもした二人で陸上の練習もしたでも1つ気になることがあった先輩は体が弱かったその弱い体で走り続け体は疲労で限界だった俺は始めてその話を聞いたとき「バカバカしい」と思っただってそうだろ!?そんなこと漫画か小説の中の話みたいだとうとう先輩は3年の冬に風邪をこじらせたことから肺炎になり入院俺は毎日病院に通った 先輩の好きなプリンを毎回買っていった でも先輩は全部食べることが出来ずに残してしまう体がきついはずなのに俺と話してくれるその健気な姿を見て俺は幾度も言葉に詰まった先輩は卒業した病院の小さな部屋で友達に祝福もされずに俺は陸上部の部員達をかき集め先輩の卒業式をしたそのときの先輩の顔は今でも忘れられない涙を流して花束と俺が校長の真似事をして渡した卒業証書を抱えて泣き、微笑み、「ありがとう」と繰り返していたそれから数ヶ月、冬になった俺は高3、先輩はまだ入院していたいつも他愛のない話ばかり「W君!私ね退院したらまた陸上するよ そしてね皆とまた走るんだ」「先輩…」俺は先輩の母親から教えられていた先輩はおそらくもう走れない長い入院生活で筋肉が衰え体も付いていけないだろうとのことだった「覚えてる?皆でアップするときK君とT君がいつもふざけてたね」「皆は元気?」「皆で大会に行って」「打ち上げして」泣いていた先輩も知っていた自分の体のこと 足のこと「バカだね私…もうそろそろダメなのは自分でも解ってるのに」「そんなこと言わないでください 大丈夫ですよ」バカなのは俺だったそんな意味のない言葉ばかり出てくるそれでも先輩は笑っていた俺は我慢できずに先輩を抱きしめたもうそこからは勢いだった「先輩俺先輩と結婚したい勉強して大学は行入って働いて先輩と結婚するんだ」先輩は驚いていたが「ありがとう私W君の彼女になれて幸せだよぉ」といって泣いたそれから数週間後俺は先輩の家族から病院に呼び出された先輩の様態が悪化しもうもたないらしい苦しみながら俺の名前を呼んでいたらしい苦しむ先輩の横に座り手を握ると先輩が口を開けた「W…君…W君」「はい」もう顔は涙でグチャグチャだった「今ね…私ね…走って…た」「はい」「皆…いたよ…先生も…先輩達…も」「はい」「笑っ…てた…皆…が早くって…言ってた」「はい」先輩の家族も後ろで泣いていた「私…トロイか…ら」「そんなことない…そんなことないです!」「ゴメンね」「先輩はいつもそうです!謝ってばかり 悪くないのに」「私…贅沢は…言わない」「えっ!?」「皆と…は無理…でもせめて…W君と走りたい」もうそこからは何も見えなかった涙があふれ視界がかすむ「一緒に…ずっ…と」「走りましょう!一緒に!二人で走るんです」「えへ…へ」そこまでだった 先輩は動かなくなった俺は立ち上がり涙で汚れた顔で部活終了の挨拶をした「お疲れ様でした!!」泣いた、今思い出すと恥ずかしいくらい泣いた死にたかったもう先輩のいない世界なんてと思ったしかし先輩の両親から手紙を渡された俺は晴れた日に思い出の高校の部室に行き手紙を開いた『こんちわっす。コレを見てるのは部活が終わった後?それとも私が死んじゃったときママとパパがすぐに渡しちゃった?イキナリごめんね。初めてW君と会ったときW君私のこと「小さっ!」って言ったでしょ?あれはきつかったなぁ・・・・・』といった俺との思い出が書き連ねてあった最後の部分に書いてあったことに俺は我慢できずに泣いてしまった『・・・・W君!私がいないからっていつまでも一人身でいないでね!彼女が出来るまで私が見ててあげる!あなたの隣を、いつでも、何処でも、走ってます!』ああ あの人はどうしてあんなに優しいのだろう 俺は微笑んで涙を流した「約束ですからね 一緒に走るって」俺は立ち上がり部室を後にしたと、手紙の裏に何か書いてあった『PS,私の陸上の道具全部上げる いらないなら燃やしちゃってください』数年後俺は大学に進学し陸上部に入った彼女はいない というより作る気がないその日は大会の日 俺のスパイクの靴紐は先輩の遺品の中にあった先輩のスパイクの靴紐だ俺はその靴に向かっていまや大会のたびに言っている気合入れのような言葉を大声で叫ぶ「先輩!今日も一緒に頑張って走りましょう!」